東日本大震災から10年…(ショーファーサービスのコラム 2021.3.15)
2011年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震によってもたらされた東日本大震災より、ちょうど10年経過しました。
2021年3月10日時点、死者15,900人、行方不明者2,525人、全半壊家屋405,161棟、影響範囲は12都道県(警察庁まとめ)になり、また、避難生活の末に衰弱したり自殺したりした関連死は3,775人(復興庁まとめ)と、この地震によってもたらされた人的被害、経済的被害は、今も大きな傷跡を残しています。私は、発生時JR線の駅のホームにいました。地震発生から間もなく倒壊の恐れがあるとのことで、駅係員によって駅から退去することになり、そこからバスと徒歩を使って、何とか約3時間かけて会社に戻ってきたことを覚えています。
大震災をきっかけに…
発生当初、金曜日の午後とはいえある程度スムーズに動いていた道路も、公共交通機関が完全にマヒした影響で、1時間もしたころには、車と人があふれかえり、各所で身動きが取れないほど渋滞が起きていました。
その年の新語・流行語大賞に「帰宅難民」という言葉が選出されたように、
レンタカーで帰宅しようと店に押し掛ける人、飲食料を探す人など、ひと・ヒト・人で東京が混乱していたことは、皆さんの記憶に新しいと思います。
その後、特に多くのオフィスビルを構える東京都千代田区、中央区、港区をはじめ、多くの自治体で従業員・学生・顧客の一斉帰宅の抑制するように求め、事業者、学校等に対し、3日間程度の物資の備蓄をするなど対策を求めるようになりました。
大地震発生後から72時間はオフィスに待機するようにという話を聞いたことがあるかもしれませんが、理由はここにあります。
運転中はどうする???
では、自動車を運転しているときに大地震が発生した場合はどのように対応しなければならないのか。
大地震が発生した場合、交通教本や、警察庁のホームページにも記載されている通り、できるだけ安全な方法で道路の左側に停止させるなど、運転者に対して必要や措置を求めています。https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seibi2/saigaiji/daizisinnunntennsya.html
「できるだけ安全な方法で道路の左側に停止させる」ということは、一般的に知られていると思います。しかしながら、東京23区内において、主要道路の交通規制が行われるのは、あまり認知されていないのではないでしょうか。東北地方太平洋沖地震後の2012年3月5日、警視庁より新しいルールが発表、施行されました。
警視庁のホームページに掲載されている通り、『震度6弱以上』と『震度5強』の地震が発生した場合で規制の方法が異なります。https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/saigai/shinsai_kisei/index.html
●震度6弱以上の大震災の場合
発生直後から人命救助、消火活動等に従事する緊急自動車等を円滑に通すための第一次交通規制が実施されます。
・環状七号線内側方向へ流入する車両の通行禁止
・環状八号線では都心方向へ流入する車両通行抑制
・以下の7路線が緊急自動車等以外の車両通行禁止(緊急自動車専用路)
国道4号(日光街道ほか) 国道17号(中山道・白山通り)
国道20号(甲州街道ほか) 国道246号(青山通り・玉川通り)
目白通り・新目白通り 外堀通り
高速道と首都高等(併せて1路線の扱い)
その後、復旧復興のための災害応急対策を円滑に行うための第二次交通規制を被害状況及び道路状況を勘案した上で実施されます。
・第一次交通規制の緊急自動車専用路がこの段階で、「緊急交通路」に切り替え
・さらに、以下の35路線のうち必要な路線が、「緊急交通路」に指定
※緊急交通路:災害応急対策に従事する車両(緊急自動車のほか災害対策基本法に基づく標章を掲示している車両等)以外は通行不可となる道路
国道1号(第二京浜ほか) 国道6号(水戸街道ほか)
国道14号(京葉道路) 国道15号(第一京浜ほか)
国道17号(新大宮バイパス) 国道122号(北本通りほか)
国道254号(川越街道ほか) 国道357号(湾岸道路)
都道2号(中原街道) 都道4号ほか(青梅・新青梅街道)
都道7号ほか(井の頭通り・五日市街道・睦橋通り)
都道312号(目黒通り) 都道315号ほか(蔵前橋通りほか)
国道16号(東京環状ほか) 国道20号(日野バイパスほか)
国道139号(旧青梅街道) 国道246号(大和厚木バイパス)
都道9号(稲城大橋通りほか) 都道14号(東八道路)
都道15号ほか(小金井街道) 都道17号ほか(府中街道・志木街道)
都道18号ほか(鎌倉街道ほか) 都道20号ほか(川崎街道)
都道29号ほか(新奥多摩街道ほか) 都道43号ほか(芋窪街道ほか)
都道47号ほか(町田街道) 都道51号(町田厚木線)
都道59号(八王子武蔵村山線) 都道121号(三鷹通り)
都道153号ほか(中央南北線ほか) 都道158号(多摩ニュータウン通り)
都道169号ほか(新滝山・滝山・吉野街道)
都道173号(北野街道) 都道248号ほか(新小金井街道)
都道256号(甲州街道)
●震度5強の地震が発生した場合
都内で震度5強の地震が発生した場合、交通混乱を防止するため、都心部における帰宅困難者の滞留状況、交通渋滞の発生状況等を勘案し、必要に応じて、以下の交通規制が実施されます。
・環状七号線から都心方向へ流入する車両通行禁止
・環状八号線から都心方向へ流入する車両通行抑制
東北地方太平洋沖地震においては、東京千代田区、江東区、中野区、杉並区、荒川区、板橋区、足立区、江戸川区、新島村で震度5強を観測していますので、今後、同規模以上の地震が起きた場合には、自動車での移動はできなくなると考えられます。
首都直下型地震に対する懸念は年々強くなっている側面もあります。東京都だけではなく、隣接する神奈川県、埼玉県、千葉県、山梨県の交通規制も確認しておくのも、空港やゴルフ送迎の時の対処として良いかもしれません。
参考までに神奈川、埼玉、千葉各県での災害時交通規制については、
神奈川県警察『大地震が発生したら』
https://www.police.pref.kanagawa.jp/mes/mesf1004.htm
埼玉県警察『災害時等における交通規制について』
https://www.police.pref.saitama.lg.jp/f0040/kotsu/earthquake-traffic_2.html
千葉県警察『災害時の交通について』
https://www.police.pref.chiba.jp/kotsukiseika/safe-life_disaster-traffic_01.html
の各ページにアナウンスされています。
危機管理マニュアルを確認しよう
2011年の地震発生当時、一部のタクシードライバー無線で直ちに営業所へ戻るように指示があったそうです。実際に私自身も発生直後に会社に戻ろうとタクシーを捕まえても乗車拒否にあいました。
仮に役員車を運行中に、震度5強以上の地震が起きた場合にどう対応するのがよいのかということを考えます。
タクシーと異なり役員車の場合、運転中(移動中)のほかに、会社で待機中、出先で待機中と、主に3つの状況の中で遭遇することになります。
会社で待機中の場合は、会社または入居しているビルの指示に従って行動することなります。
一方で、運転中の場合、出先での待機中の場合においては、状況により、会社に戻る、その地点の最寄りの避難場所へ行く、出先側の指示に従って行動するなど、色々な選択肢が出てくると思います。
2011年当時は、災害時対応マニュアルを整備されていた企業はまだ少なかったと思いますが、大震災を教訓に、現在は危機管理マニュアルが整備・更新されているはずです。
それぞれの会社によって対応方法が異なると思いますので、まず、秘書の方や危機管理担当の方に役員車に関する災害時のマニュアルの有無を確認したり、連絡の流れなどの取り決めを作っておく良い機会と思います。
それでも地震が起きた場合に最優先なのは、ご自身の命を守ることです。勤務中ならば、それから状況確認、安否報告、避難行動など二次災害等に気を付けながら、次の行動に移ってください。
地震大国といわれる日本なので、日ごろから準備を心がけましょう。